沖縄県不動産事情

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沖縄県不動産は、首都圏並みの価格!?

NEW沖縄県不動産は、首都圏並みの価格!?

地価上昇率が福岡県に次ぎ第2位

 2024年発表の国交省の都道府県別地価上昇率は、沖縄県は福岡県に次いで全国2位でした。そして、総務省発表の都道府県別人口増加率も沖縄県は東京都に次いで全国2位です。

 沖縄県は、全用途(住宅地、商業地、工業地)の地価上昇率が前年比5.5%増となり、2014年から11年連続で上昇しました。昨年の3.6%増から上昇率が拡大しましたが、中でも住宅地の上昇率が前年比5.5%増と全国1位だったのです。

 また、様々な民間調査や報道機関によると、沖縄県のマンションの平均価格は、東京都をトップに神奈川県や京都府などと並び2番手の位置を伺うほど高い価格になっているのです。何と最近は、大阪府や福岡県より高い数字が出ているのです。これは、出生率が圧倒的に他都道府県比高く、人口増加率が高いことも影響していますが、観光を中心に経済が活性化し、内地からの住宅購入の需要など値上がりが続くとみての投資マインドの良さが大きいと思われます。

 更に、特筆すべきは、地価の標準地に設定されている県内189地点のうち、188地点で地価が上昇しており、1地点が横ばいで下落した地点はゼロということです。1位の福岡県は、800超の地点の内80地点程が下落しています。東京都でも15地点程が下落しています。令和6年は、30都道府県で全用途平均地価が上昇しましたが、下落地点が全くない都道府県は沖縄県だけなのです。県内全体で地価が上がるには様々な理由があると思いますが、どういう理由があるか考えたいと思います。

 まずは、大阪から最近沖縄へ移住した私から見ると、沖縄県は人口密度がどこへ行っても多いなと感じたことを上げます。沖縄県の人口密度は、47都道府県別で9位でありますが、本島の約15%が米軍基地であり、これを勘案すると8位の兵庫県を上回ります。因みに1位東京都、2位大阪府、3位神奈川県、4位埼玉県、5位愛知県、6位千葉県、7位福岡県ですが、この7都府県は、100万人以上の人口を持つ巨大都市(沖縄県1位の那覇市の人口は31万程)があるか、東京都心への通勤圏の県です。そして、この上位7都府県は、いずれも私鉄とJR鉄道網が非常に発達しています。

 一方、沖縄県には鉄道が無く、交通手段は圧倒的な車社会です。1972年までアメリカの統治下で、アメリカ文化の名残でしょう。そして、沖縄県は、どこへ行っても、どんな道でも車が多いのに驚かされます。内地の感覚では、グーグルマップ検索で小さな道は、通行できるか不安で避けますが、沖縄県では結構どの道も交通量が多く、どんな道も往き来が普通に出来るのです。そして、車で1時間以上かけて通勤するのは、普通のことです。47都道府県で沖縄県の面積は小さい順に4位で、南北に細長い地形なので、沖縄本島南北半分くらいの距離を通勤する方も結構いるのです。つまり、地域による交通の不便さが、車社会故に、鉄道を中心とした交通網の他の上位都府県に比べかなり小さいと言えると思います。車社会で道路網が発達しており、県内広範囲に住宅需要のあるエリアが存在すると言えるでしょう。これは、過疎化が進んでいるといわれる日本の内地の村と沖縄県の村事情はちょっと違うと言えます。日本国内の人口の多い村の順位を見ると、日本一人口の多い村が沖縄県読谷村(4.2万人)であり、10位以内に沖縄県の村が4つを占めているのです。国内の村の昨年度人口増加率上位も沖縄県の村が10村中3つを占めているのです。村の人口が多い、人口増加率が多い、というのは大きいと思います。つまり、沖縄県全体の人口が地域差無く増えていることの証で、それが地価下落地点0にも結び付いていると言えるでしょう。

人口増加率も東京都に次いで第2位

 沖縄県の人口増加率が東京都に次いで2位でありますが、沖縄県でも日本の人口減少の波には勝てず、2023年には戦後初めて人口減少となったのです。それでも内地のように極端に人口が減少している地域が、先ほどの村の人口に見るように少ないのです。沖縄県の10万人以上の人口を抱える市は5つで、多い順に那覇市、沖縄市、うるま市、浦添市、宜野湾市です。那覇市からうるま市の約35キロの間に5つの市が集中していて、これらの都市が並んでいます。内地の方は、那覇市以外のこの5つの市は、あまりピンとこないと思います。何故なら、那覇市以外ではこれといった人気観光地が少ないからですが、内地の熱狂的なプロ野球ファンである方なら知っているかもしれませんね。プロ野球キャンプ地が、東京ヤクルトが浦添市で、横浜DeNAが宜野湾市、広島東洋が沖縄市、阪神のファームがうるま市ですから。

 そして、何より沖縄県で特筆すべきは、47都道府県別の出生率がダントツで1位ということでしょう。49年連続1位なのです。昨年度の「合計特殊出生率」は、全国で見ると1.20です。一方、沖縄県は1.60で、2位が1.49の長崎県、宮崎県で、最下位の東京都は0.99と1を下回っているのです。その理由として、古いですが、平成17年版の厚生労働白書のコラム「沖縄県の出生率が高い理由」では、(1)共同社会的な精神がまだ残っており、子どもを産めばなんとか育てていける。(2)男児後継ぎの意識が強く残っているので男児が生まれるまで産児を制限しないという説がある、と分析されています。私は、沖縄県に来て感じたのは、親子2世帯、3世帯大家族で住む、又は近くで住むが当たり前で助け合って生活しているのが印象的でした。そして、ショッピングセンターへ行っても赤ちゃん連れ子供連れの多いのにびっくりしました。私の住んでいた関西のショッピングセンターでは年配の方が多かったので(笑)。沖縄は、若い人が多いので、やはり街に活気がある気がします。沖縄の不動産会社の方に「沖縄は低所得なのに、こんな高価格マンションを地元の方が買うのですか?よく買えますね。」と聞いたことがあります。すると、「住居に充てる金額は、一般的に年収の7倍と言われていますから、ファミリーの方で4千万円台位でも買いますよ。」との返答でした。「なんくるないさ」の精神ですね。

観光産業が不動産価値上昇を牽引

 沖縄県の観光客は、リーマンショック後の2012年以降毎年かなりの勢いで増え続けましたが、新型コロナで急激にダウンして、昨年度は、国内旅行者がコロナ前を上回りましたが、海外旅行客は未だ回復してない状況であります。しかし、回復するのは時間の問題とみられ、今後の伸びへの期待は極めて大きいです。大型リゾートホテルもここ数年非常に増えていて、沖縄本島では、那覇市以外では恩納村や読谷村、北谷町から今は、本島の北部や最南部エリアにも大型ホテルが増えてきています。このエリアは、元々人口が少なく、自然の残った環境も多いのですが、内地の場合には、このようなエリアは一般的に不動産ニーズが少なく、地価下落の筆頭に上がります。沖縄は地理的な特性から、これらのエリアの近くに静かで美しい海が存在し、ホテルや別荘、リゾート施設としての土地需要があるのも、沖縄の全地域地価上昇の要因と言えます。

 また、沖縄県は、日本が戦後の高度経済成長を遂げる間、沖縄の経済は停滞していたため、本土に比べて経済的に遅れを取ることになり、インフラ整備においては、那覇近郊を除いて、下水道やガス管等の布設など内地と比較して進んでいなかったことがあります。そのライフライン整備を今現在強力に進めている状況があり、県内の様々なエリアで公共施設の建設や都市開発も加速度的に進めており、それが都心部以外の地価上昇を後押ししている要因とも言えます。

 日本経済新聞の本年4/18付記事で、「沖縄でホテル開業相次ぐ」という見出しが掲載されました。沖縄本島だけ見ても、那覇空港に近い瀬永島で東京の東急が開発した「STORYLINE瀬長島」が開業、北谷町では大阪のロイヤルホテルが「リーガロイヤルリゾート沖縄 北谷」を開業予定、読谷村残波では仏系外資が「グランドメルキュール沖縄残波岬リゾート(旧ロイヤルホテル沖縄残波岬)」を改装オープン、那覇空港に「ホテルエアポートビューNAHA」が本年開業、恩納村の「PGMゴルフリゾート沖縄」はPGMグループ初となる総合リゾートホテルを開業予定、この他、今帰仁村に2つ、本部町にも2つ、名護市と読谷村に各1と開業予定を挙げれば枚挙に暇ないです。

 また、沖縄のリゾートホテル稼働率は、日銀那覇支店公表でコロナ禍前の2018年の水準に戻っていないとなっています。中国の不動産不況の影響等による中国観光客減少が大きいのですが、ホテル業界の投資は旺盛で、コロナ禍からの回復を見据えて投資先を探すと「沖縄ならまだ伸びしろがある」との判断が働くと記事では書かれています。

離島の不動産逼迫は本島以上

 今まで、様々な角度から沖縄県の不動産の実情を見てきましたが、沖縄本島を中心に見てきました。実は、沖縄の離島では、もっと凄い状態になっているのです。沖縄県の市町村別の地価上昇率が1位は宮古島市、2位は石垣市なのです。沖縄県の地点別住宅地では上位5地点は以下の通りです。1位:恩納村真栄田真栄田原36外 +28.9%、2位:宮古島市伊良部国仲屋敷90 +28.0%、3位:宮古島市平良西里アラバ1537-3 +23.2%、4位:宮古島市城辺保良村内507 +23.1%、5位:宮古島市伊良部池間添下桃山219 +21.1%です。石垣島、西表島でも上昇が激しいです。やはり宮古島が一番すさまじく、2023年開業ヒルトン沖縄宮古島リゾートをはじめ大型ホテルの開業や建設が目白押しです。米国系最高級ホテル「ローズウッドホテルズ&リゾーツ」が日本初進出で宮古島に2024年秋開業予定、更にYARABU RESORT(ヤラブリゾート)、アヤンナ 宮古島、サントリーニ HOTEL&VILLAS 宮古島、そして敷地面積約140万坪の広大なリゾートシティ「シギラセブンマイルズリゾート」、サントリーニ HOTEL&VILLAS 宮古島、キャノピーbyヒルトン沖縄宮古島リゾートが2026年春開業予定です。これらのリゾートホテルは、社員宿舎も一緒に準備するでしょうが、内地からアルバイトでもしようと賃貸物件を探しても宮古島では、まず見つからないというのが現実です。限りある島の土地に、これまでとは桁違いの投資マネーが島外から注がれることで、地元に住む人たちの暮らしにもかなり影響が出ているのです。好調な経済と人手不足を背景に、賃貸物件は稼働率99%と言われています。家賃が首都圏並みに高騰し、さらに地価高騰で持ち家を購入しようにも高くて手が出せない状況になっているのです。また、宮古島では、水不足、ごみ処理不足などインフラにも影響を及ぼし、何といっても人手不足が深刻な状況になっているのです。

目を見張るマンション価格の上昇

 今年の沖縄タイムズ4/30付記事で、「マンション高騰中古恩恵、資産性と割安感 沖縄人気、新築に県内外から高需要」という見出しに、次のような記事が掲載されました。記事を要約すると、「新築マンション1戸の那覇市平均価格が2011年東北大震災の直後は2千円万台まで落ち込んだが、2023年には5,478万円と5千万円の大台に乗った。全国の地方圏の動きで、沖縄のこの特殊さは、観光地としてのポテンシャルに加え穏やかな人口減少(他の地方は急激な減少)から、値が下がらないだろうという安心感と将来性が沖縄は抜きんでている。投資目的の福岡などと異なり別宅利用の実需も厚い。建築資材や人件費高騰の長期化もあり、中古が高値で売れると県民に認識されている。」とありました。更に同日付、別の記事で、「マンション再販価値上昇 新築時の1.5倍 那覇全国9位」という見出しに、記事の中で、「中古マンションの利益の目安となるRV(再販価値)が那覇市で158.3%、つまり新築購入後中古で1.5倍の値段で売却されていてRVは全国9位、それも東京23区がトップテンの7地域を占め、那覇市は京都市中京区と並び5年連続東京23区を除きトップテン入り。」とありました。

 また、不動産民間会社の調査データで良く目につくのが、沖縄県の中古マンション平均価格が47都道府県で東京都に次いで神奈川県、京都府と2位争いをするほど高いというものです。何と、大阪府や福岡県、名古屋市のある愛知県、千葉県、埼玉県、兵庫県より高いのです。これは、驚きの数字であります。那覇市の隣の浦添市でも新築マンションは、5千万円程は普通になってきています。私は、つい最近まで大阪市内と奈良市内に住んでいたましが、大阪市通勤圏(30~50分程)の人気ベッドタウンである奈良市より高いのです。更に、沖縄県では、那覇市から車で45分近く離れた北中城村や北谷町の中古マンションの人気物件は、7千万円程で平気で売られているのです。北中城村の内地大手が販売の新築マンションが億ションになると発表もありました。これは、沖縄の田舎町村のマンションが大阪市内と遜色ない価格で売られていると言っても過言ではありません。

 沖縄の不動産事情を様々な角度から見てきましたが、如何でしょうか。まだまだ伸びしろが大きいと見る向きが多いのですが、皆さんはどう判断されるか、このブログが多少でも参考になればと思います。

 最後に、これからの沖縄県経済を予測するためにいくつかの大型案件を上げておきます。沖縄北部の新しいテーマパーク「ジャングリア(JUNGLIA)」、那覇市内のLRT計画(路面電車計画)、モノレール延伸、那覇市の東の与那原町中城湾(なかぐすくわん)沿岸の「マリンタウンMICエリア」プロジェクト、豊見城市の「沖縄豊崎タウンプロジェクト」、などです。この先益々成長して、実質的に観光産業がハワイ越えとなるか沖縄県に注目して見て行きたいものです。