県内ホテルの客室単価の上昇と稼働率

最終更新日:投稿日:沖縄情報

建設ラッシュが進む沖縄県内ホテルの課題と展望

NEW県内ホテルの客室単価の上昇と稼働率

沖縄で2024年~2026年に開業予定のホテル

沖縄県は年中を通して比較的温暖な気候、美しい海や豊かな自然、そしてユニークな文化遺産をもるリゾート地として、国内外の観光客の人気の観光地となっています。新型コロナウイルス禍においては行動制限(航空路線やクルーズ船の制限)などの影響を受けた旅行業界も、ようやく回復の兆しをみせ、沖縄県が発表した2023年の入域観光客数は、前年比45%増の823万5100人となり、2年続けて大幅増となりました。また、国内客は724万人でコロナ禍前の19年を0.2%(約1万5千人)上回り過去最多、外国客を含めた全体の観光客数も19年比で81%まで回復しています。


観光客の順調な増加に伴い、ホテル需要が再び上昇する見込みから、沖縄県内では引き続きホテル開発が活発化し、既に向こう2年先まで開業予定が目白押しとなっています。

【2024年~2026年開業予定ホテル(2024.6月新着)】
1.サントリーニ ホテル & ヴィラズ 宮古島(宮古島市伊良部) 
 2024.3月開業 

2.ホテルコンドミニアムVIVOVIVA石垣島(石垣市新川)
 2024.3月開業

3.プールヴィラ 古宇利島(古宇利)
 2024.4開業

4.グランドメルキュール沖縄残波岬リゾート(読谷村宇座)
 2024.4月リニューアルオープン

5.アヤンナ宮古島(宮古島市伊良部)
 2024.4月開業

6.STORYLINE瀬長島(豊見城市字瀬長)
 2024.4月開業

7.TWIN-LINE HOTEL YANBARU OKINAWA JAPAN(名護市)
 2024.7月夏開業

8.seven x seven 石垣(石垣市真栄里)
 2024.9.9月開業

9.リーガロイヤルリゾート沖縄 北谷(中頭郡北谷町)
 2026年春開業

10.キャノピーbyヒルトン沖縄宮古島リゾート(宮古島市平良)
 2026年春開業

11.PGMゴルフリゾート沖縄(恩納村字冨着)
 2026年中に開業

沖縄県内主要ホテルの稼働状況に関する調査結果


沖縄振興開発金融公庫が令和6年9月24日に発表した「2023年度県内主要ホテルの稼働状況」資料によると、2023年度の客室稼働率は、全てのホテルタイプ(シティホテル、リゾートホテル、宿泊特化型ホテル)で前年度を上回っています。具体的には、

・シティホテル:61.3%(前年度比+7.2ポイント)
・リゾートホテル:
63.9%(同+5.4ポイント)
・宿泊特化型ホテル:
68.6%(同+5.2ポイント)

となっています。ただし、2019年度と比べるといずれも10ポイント程度下回っていました。

稼働率が上昇した要因としては、国内旅行需要の増加、航空路線の再開、新規ホテルの開業、リノベーションやサービス向上の取り組みなどがあげられますが、コロナ禍以前の高稼働水準まで回復しきれなかった背景には、宿泊施設の供給増による競争の激化や、人手不足などが影響しています。

各ホテルタイプの客室単価の変化について

2023年度の各ホテルタイプの客室単価は以下のように推移しています。

  • シティホテル: 13,383円(前年度比+1,632円、+13.9%)
  • リゾートホテル: 25,499円(同+1,693円、+7.1%)
  • 宿泊特化型ホテル: 8,655円(同+1,262円、+17.1%)

全てのタイプで前年度を上回っており、特に宿泊特化型ホテルは大きな成長を見せています。
また、シティホテルと宿泊特化型ホテルはコロナ禍以前の水準に近づいていますが、リゾートホテルはそれを上回る結果となりました。

客室単価引き上げの要因としては、世界的なインフレと物価上昇により、建設コストや運営コスト(エネルギーコストや食材の価格上昇、人件費など)が増加しており、それが宿泊料金に転嫁されていることも考えれますが、さらに、沖縄県内のホテル競争が激化するにあたり、各ホテルともにブランド力の強化が求められていることがあげられます。(過去5年間で約9,500室の新規ホテルが開業してます。)

沖縄県内の多くの既存ホテルが客室のリノベーションなどリニューアルを行って快適性や魅力を向上させた他、ホテルは宿泊プランの見直し、差別化のためにサービスの質を向上させたり、新たな体験や独自のアクティビティを提供したりすることで、付加価値を高めています。例えば、プライベートプール付きのヴィラ、屋上インフィニティプール、地元食材を使った高級レストランなどの設備サービスは、価格を上げても満足度を得られるという戦略で展開されています。
そうしたこれらの要因が相まって、コロナ禍の影響からの回復過程において、ホテルは売上高を維持し、収益を確保するためにも、価格戦略の見直しが避けられず、沖縄県内のホテルの客室単価は上昇し続けているのです。

今後の動向について(予測)

2023年の入域観光客数はコロナ禍前に大きく迫るなど、新型コロナウイルスの影響が緩和され、修学旅行や家族旅行などの国内観光客の増加傾向は今後も続くとみられます。
また、沖縄は日本国内観光客にとっての人気スポットであるだけでなく、アジアの観光客にとっても魅力的な旅行先です。水際対策の緩和により、香港、台湾、韓国などの国際航空路線やクルーズ船の再開に伴い、今後の外国人観光客の回復が期待されるなど、宿泊需要が増加し、ホテルホテル需要と稼働率向上が期待されます。

またまた観光客の受け入れ体制やオーバーツーリズムへの対応、インフラの整備や観光資源(自然環境・文化の継承)など課題は山積みですが、観光業は県内総生産の大部分を支える沖縄経済における最大の産業であり、今後の益々の発展と沖縄の経済成長に期待したいと思います。